呼吸する(3)。【両鼻交互のアヌロマ・ヴィロマ】
前回までに、両鼻のアヌロマ・ヴィロマ、片鼻のアヌロマ・ヴィロマをご紹介しましたが、今回はそれらの集大成ともいえる【左右の鼻で交互に行うアヌロマ・ヴィロマ】のご紹介です。
人は大体において数時間おきに呼吸する鼻を左右で切り替えています。片鼻ずつ呼吸しているのです。
右鼻だけで吸っては吐き、吸っては吐き、これを数時間繰り返し、自律神経のコントロールによりそのあとは左鼻だけで吸って吐く、また吸って吐く・・・を繰り返しています。理由や目的ははっきり分かっていないそうです。
意図的に左右の鼻孔で交互に呼吸をすれば、自律神経のバランス調整にも効果があると考えられています。
また、1998年にノーベル生理学賞を受賞した研究者たちによれば、片鼻をふさぎもう片鼻で呼吸する際に、そのふさがれているほうの鼻孔から産出されている一酸化窒素が脳の嗅神経に刺激を与え、血管を拡張させる、ということです。動脈硬化や高血圧の改善に効果があるとされています。血管拡張作用のある一酸化炭素は常に鼻孔から産出されていますが、ふさぐことにより鼻の外へ流出する量が減り、脳内へ達する量が増えるということなのでしょうか。
そのほか、通常の呼吸に比べ、この両鼻交互の呼吸は慣れないうちはかなり集中力を要します。考えながら呼吸をしなければならないわけです。もともと呼吸法により深い呼吸ができるようになるだけでも脳への血流が増え脳は活性化しますが、考えながら呼吸をするということでさらに脳には良い刺激となります。
覚えるまではちょっと大変ですが、覚えてしまえばいつでもどこでもできます。
今日から早速チャレンジしてみては・・・?
【両鼻交互ののアヌロマ・ヴィロマ】
<左鼻から吸って右鼻で吐く—チャンドラ・ベダナ—>
1.楽な姿勢で座る(椅子・床、どちらでもOK)。気道はまっすぐ確保。
2.顔の筋肉も含め体中をリラックスさせる。
3.右手の人差指と中指を握りこみ、親指で右鼻をふさぐ。
4.左鼻からゆっくりと息を吸い込む。
息が入って来るときに、新鮮なエネルギーに満たされるのを意識する。
5.息を吸いきったら右手の薬指で左鼻をふさぎ、右手の親指は右鼻から離す。
6.右鼻からゆっくりと息を吐き出す。
息が出て行くときに、体の中で使い古されたエネルギーが出ていくのを意識する。
7.何回か繰り返す。繰り返している間に体全体がリラックスしていることを意識する。
<右鼻から吸って左鼻から吐く—スーリヤ・ベダナ—>
上記の1.2.の後、
3.右手の薬指で左鼻をふさぐ。
4.右鼻からゆっくりと息を吸い込む。
息が入って来るときに、新鮮なエネルギーに満たされるのを意識する。
5.息を吸いきったら右手の親指で右鼻をふさぎ、右手の薬指は左鼻から離す。
6.左鼻からゆっくりと息を吐き出す。
息が出て行くときに、体の中で使い古されたエネルギーが出ていくのを意識する。
7.何回か繰り返す。繰り返している間に体全体がリラックスしていることを意識する。
≪左鼻から吸って右鼻から吐き、続けて右鼻から吸って左鼻から吐く—ナーディ・シュッディー≫
上記の1.2.の後、
3.右手の親指で右鼻をふさぐ。
4.左鼻からゆっくりと息を吸い込む。
息が入って来るときに、新鮮なエネルギーに満たされるのを意識する。
5.息を吸いきったら右手の薬指で左鼻をふさぎ、右手の親指は右鼻から離す。
6.右鼻からゆっくりと息を吐き出す。
息が出て行くときに、体の中で使い古されたエネルギーが出ていくのを意識する。
7.息を吐ききったらそのまま右鼻で息を吸う。
8.息を吸いきったら右手の親指で右鼻をふさぎ、薬指は左鼻から離し、左鼻からゆっくりと吐く。
9.息を吐ききったらそのまま左鼻で息を吸い、吸いきったら左鼻をふさいで右鼻で吐く。
10.吐ききったらそのまま右鼻から吸い、左鼻から吐く。
何回か繰り返す。繰り返している間に体全体がリラックスしていることを意識する。
吸息と呼息は1:1の割合でも良いですし、1:2でもOKです。
1日のうちに何度でも、気づいたらいつでもどこでも実践する、というように実践してみてくださいね。