セロトニンとウォーキング
脳内物質の一つに「セロトニン」というものがある。
この神経伝達物質がたくさん作られると、
①自律神経の一つ、交感神経が適度に緊張し、脳と身体が目覚める
②抗重力筋が強化され、姿勢が良くなり、顔のたるみもすっきり
③痛みを和らげる
④イヤなことを受け流す
⑤大脳がα2の脳波になり、「クールな覚醒」状態になる
という効果がある。
よく言われることに、目覚めたときに朝陽を浴びると交感神経が活性化して
すっきり目覚められるというのがあるが、これはセロトニンのおかげなのだ。
というのは、朝陽を浴びるとその光が光信号となり網膜から入り、セロトニン
神経の集まる部位に直接働きかけてセロトニンの放出が活発化するのだ。
セロトニンはセロトニン神経から放出されるが、脳内のかなり広範囲に軸策
(神経細胞から伸びたコードのようなもの、その先端から神経物質が放出される)
が伸びており、自律神経の中枢にも達しているため、セロトニンの放出が活発に
なると交感神経も活発になり、脳と身体が目覚めるのだ。
朝陽を浴びる他にも、セロトニン神経を活性化させセロトニン放出を増加させる
方法がある。
ウォーキングやジョギング、自転車こぎ、呼吸法などである。
ただし、ひたすら身体に意識を集中させ、歩くだけ、走るだけ、こぐだけ、息を
するだけの状態にしなければならないという。何かを考えたり、話をしながら
行うと、脳の言語機能や認知機能のほうが活性化し、セロトニン神経の活性化は
抑えられてしまうということだ。
数を数えたり、意味の分からない呪文などを唱えるのはかまわないそうだ。
東邦大学教授でセロトニンDojo代表の有田秀穂先生の研究によると、これらの
運動を終えた後には、脳波がα2という脳波になると言う。
α2の状態とは、目を閉じて安静にしているのと、活動しているののちょうど中間
のような状態で、リラックスはしているが大脳の働きはそれほど低くない状態で
あるということだ。その結果、不安や緊張が緩和され、疲労感がとれ、混乱など
もなくなりすっきりと爽快な気持ちになるということだ。
座禅などでもこのα2は出てくる。
さらに、このセロトニンの放出を高いレベルで維持する方法もある。
前出の運動を毎日3か月ほど続けることである。
3か月という期間はなぜかといえば、セロトニン神経を活性化すると、
セロトニンが増えすぎて問題を起こさないように抑制する機能のあるオート
レセプターと呼ばれる機構も同時に活性化し、結果的にセロトニンはあまり
増えていかない。
このオートレセプターの数を減らし、セロトニンを高いレベルで維持するために
要する期間が約3か月だということだ。
そして、前出の運動の中で有田先生のお勧めは、日常生活の中で最も無理なく
続けられるウォーキングである。
セロトニンの高レベルが維持できるということは、不安や緊張などのない穏や
かで静かな心の状態が続くと言うことだ。イヤなことを受け流し、気持ちを
切り替え、悩みなども解消されると言うことだ。
考え事や不安があるときに少し歩くと、それまでのしかかっていた肩の荷が少し
下りたような、胸のつかえがとれたようなすっきりとした気持ちにになった、
という経験のある人も多いだろう。
器具や装置も要らない、手軽なウォーキングを3か月続けることで悩みも
解消できるなら、試してみる価値は大いにあると思う。
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