心のゆとり
心のゆとりと笑顔についてしばしば考えることがあります。
笑顔が作り出せるかどうかは、物理的には顔の皮膚の下にある表情筋の複雑で精妙な動きから。
ただ、笑顔になれるかどうかは心理的な要因もかなり大きいはず。
忙しすぎたり、思い通りにいかないことが多かったり、疲れていたり…など、
要するにぎすぎすしていては笑顔も出にくいですね。
心にゆとりを持つ方法はいくつかありますが、
特に心がけたいのが以下の3つ。
1つ目は、深い呼吸
特に息を吐くときには副交感神経が優位に働くため、リラックス効果は高いとされています。
吸う息と吐く息の比率を1:2にすると良いでしょう。さらに、横隔膜には自律神経が集中しているため、胸式呼吸よりは腹式呼吸を心がけるとより効果的です。
息を吸う時におなかを膨らませ、吐くときにはおなかをしぼませていきます。
2つ目は、人のために時間を使う
2012年に発表されたペンシルバニア大学のモギルナー、チャンス、ノートンらの研究によると、1日のうち少しの時間でも誰か別の人のために時間を使うと、「自己効力感(きっと達成できるという確信)」が高まり、まだまだ時間がたっぷりあると感じられるようになる、ということです。
自己効力感とはスタンフォード大学のバンデューラにより提唱された概念で、この自己効力感が高い人は、チャレンジ精神が旺盛で、モチベーションも高く、感情のコントロールにもたけているというものです。
つまり、ストレスを感じていても平静でいられるということです。
3つ目は、つねにニュートラルな立ち位置でいる
自分の判断基準、さらには「常識」と呼ばれていることが常に正しいという思い込みを手放すということです。
「本当にこれって必要なんだろうか?」「他の可能性はないだろうか?」「別の見方があるんじゃないだろうか?」といったことを意識する習慣を身につけると、意外と自分が正しいと思っていたことがただの思い込みだった、ということもあります。
偏った見方に陥ってしまうと柔軟な発想も制限され、それどころか根拠のない怒りや不安を覚えたりすることも多々あります。
自分で自分の首を絞めるとはこういうことなのかなと思います。
その他、芸術や自然に触れるというのも大きいですよね。
少しずつでも続けていきたいものですね。
浅い呼吸の影響
そもそも深い呼吸、ゆったりとした呼吸が身体にもメンタルにも良さそうなことはわかる…
では、逆に呼吸が浅いとどうなるんでしょう…
ストレスを感じている時、いつの間にか呼吸が浅くなっている、ということはお気づきの方も多いと思います。
こういう時は、肩や胸だけで呼吸しているため、肺の一部にしか酸素が届きません。その結果血中酸素濃度が低下します。
血中の酸素が不足すると、血流が悪くなり、代謝が落ち、老廃物が溜まり、肩が凝るなど筋肉がこわばってきます。
肩が凝ると、肩や背中には呼吸を補助する筋肉もあるため、深い呼吸がしづらくなります。
さらに酸素不足は脳への影響が最も大きく、思考力や集中力の低下を招きます。脳は筋肉細胞より約20倍の酸素を必要としているからです。
また、脳の働きに影響が出るということは、自律神経のバランスも狂わせ、交感神経が優位な状態が続きます。心身共に緊張状態になるということで、メンタルな面にも影響が出ます。過度な不安やイライラ、焦りなどです。
一生懸命仕事に励んだり、スポーツの試合などをする場合は交感神経を優位に立たせることは必要ですが、
いったん仕事や試合が終わればリラックスすることが必要です。この緊張とリラックスのバランスが健康を保つ秘訣なのです。
交感神経と副交感神経のバランスをとる方法としては、いくつかありますが、中でもゆったりとした呼吸をするというのは簡単にできる方法ではないでしょうか。
前回までにご紹介した、セクショナル・ブリージングで、いわば呼吸筋のストレッチを行い、完全呼吸法で全ての呼吸筋を活用してより深い呼吸ができるようになると、
自律神経が整い、さまざまな心身の不調が改善されることが期待されます。
呼吸法に慣れてきたら、吸う息より吐く息の方を長くしていくとより効果的でしょう。呼吸をするときにカウントをしながら、たとえば「1,2,3,4」で吸って、
「5、6、7、8、9、10、11、12」で吐く、というように1:2の割合で呼吸をしてみると良いでしょう。
次第に心が落ち着いてきて、身体もリラックスしていくのが実感できると思います。
完全呼吸法
前回までセクショナル・ブリージングを3回にわたってお伝えしてきましたが、今回はその3つを合わせた呼吸法「完全呼吸法」です。
3つを連続して行います。
【完全呼吸法】
① 正座かあぐらで座り、目を軽く閉じる
② 息を吸い込みながらおなかを膨らませ、次に胸を広げるようにして両肩を後ろに引
き、そのまま両肩を上に上げて喉いっぱいまで空気を入れる
③ その位置で1,2秒息を止めてから、おなかをへこませ、胸をすぼめて、両肩を
下げながら息を全て吐ききる
①~③を5回繰り返す
5回目に声を出しながら身体中の空気を全て吐き出す。
肺の下部の空気を吐くときには「アー」、中部の空気を吐くときには「ウー」、
上部の空気を吐くときには「ンー」を発して音の余韻も意識しましょう。
セクショナル・ブリージングで日ごろあまり使っていない肺の部分や呼吸するための筋肉も使えるように、動かせるようにになると、
より深い呼吸もしやすくなっていきます。
呼吸には不思議な効果があります。新鮮な酸素を取り込み、二酸化炭素と水を排出するというガス交換の意味合いだけではなく、
深い長い呼吸を繰り返すことにより穏やかな心の状態を得ることにもなります。
副交感神経を優位にさせる作用があるからです。
神経のバランスにも影響を及ぼす呼吸。
起きている間は当然のことながら寝ている間も絶えず繰り返されている呼吸ですが、私たちの心身に多大な影響を及ぼしています。
1日に数分でも良いので呼吸と向き合う時間を作ってみるだけでも、人生が変わりそうな気がしますね。
セクショナル・ブリージングvol.3 肩式呼吸
別名鎖骨式呼吸とも言います。
でも、肩が呼吸するのか???
実際、肩では呼吸はできません。この呼吸法によって肺の最上部から喉のあたりに至る部分を活性化していきます。
【肩式呼吸】
① 目を閉じて正座かあぐらで座る
② しばらく自然呼吸をする(10カウントほど)
③ 左手のひらでおなかに軽く触れた状態で、両鼻からゆっくりと息を吸いこみなが
ら、おなかを膨らませる
④ 息を吸いきったら1、2秒息を止める
⑤ ゆっくりと息を吐きながらおなかをへこませる
⑥ 息を吐ききったら1,2秒息を止める
①~⑥を10回繰り返す
10回目に息を吐き出す時に「アー」と言いながら、肺の下部にたまった空気を全て吐ききります。
「アー」の音の余韻、身体の内部に響く感じを感じ取ってください。
手のひらでおなかに触れるのは、おなかの動きを意識するため。
慣れてきたら触れなくてもOK。
この呼吸法は、おなかが膨らんだりへこんだりする動きをしっかりと意識しながら行うことが重要です。
鼻から入ってきた空気が肺の下部にたまり、横隔膜を押し下げ、息が出ていくときに横隔膜がせり上がり、中の空気を絞り出します。
普段あまり使われていない肺の最下部まで新鮮な空気を送り込むことができます。
セクショナル・ブリージングvol.2 胸式呼吸
セクショナル・ブリージング2回目は、胸式呼吸です。
胸の筋肉を意識して使っていきましょう。
【腹式呼吸】
① 目を閉じて正座かあぐらで座る
② しばらく自然呼吸をする(10カウントほど)
③ 両鼻からゆっくりと息を吸いこみながら、両肩を少し後ろに引くようにして胸を開く
④ 息を吸いきったら1、2秒息を止める
⑤ ゆっくりと息を吐きながら胸、肩を元に戻す(胸をすぼめるようにしてもOK)
⑥ 息を吐ききったら1,2秒息を止める
①~⑥を10回繰り返す
10回目に息を吐き出す時に「ウー」と言いながら、肺の中部にたまった空気を全て吐ききります。
「ウー」の音の余韻、身体の内部に響く感じを感じ取ってください。
デスクワークやスマホなどをずっと見続けることで、知らない間に猫背になってしまうこともよくあります。
呼吸法を始める前に、両方の肩先を後ろに引いて胸を開く動作を確認してから行うとやりやすいかと思います。
この呼吸法は、胸の動きを意識しながら行うことが重要です。
ゆっくりと呼吸をすることでしっかりと胸の動きを観察しましょう。
肺の中央部に新鮮な空気をとりこみ、同時に身体中に暖かなエネルギーが満ちていく様子をイメージしても良いでしょう。
セクショナル・ブリージングvol.1 腹式呼吸
今回から3回にわたってセクショナル・ブリージング(sectional breathing)についてお話したいと思います。
直訳すると「部分的な呼吸」となりますが、通常、人は精一杯呼吸をしているつもりでも、実は肺のごく一部しか活用できていないのが現状です。
まだまだ肺には普段使われていないセクションというのが存在します。
このセクショナル・ブリージングでは、肺を下部、中部、上部に分けて丁寧に呼吸することにより、肺全体を使った深い呼吸を目指します。
息を吸う時におなかを膨らませ、吐くときにおなかをしぼませる呼吸法です。
【腹式呼吸】
① 目を閉じて正座かあぐらで座る
② しばらく自然呼吸をする(10カウントほど)
③ 左手のひらでおなかに軽く触れた状態で、両鼻からゆっくりと息を吸いこみなが
ら、おなかを膨らませる
④ 息を吸いきったら1、2秒息を止める
⑤ ゆっくりと息を吐きながらおなかをへこませる
⑥ 息を吐ききったら1,2秒息を止める
①~⑥を10回繰り返す
10回目に息を吐き出す時に「アー」と言いながら、肺の下部にたまった空気を全て吐ききります。
「アー」の音の余韻、身体の内部に響く感じを感じ取ってください。
手のひらでおなかに触れるのは、おなかの動きを意識するため。
慣れてきたら触れなくてもOK。
この呼吸法は、おなかが膨らんだりへこんだりする動きをしっかりと意識しながら行うことが重要です。
鼻から入ってきた空気が肺の下部にたまり、横隔膜を押し下げ、息が出ていくときに横隔膜がせり上がり、中の空気を絞り出します。
普段あまり使われていない肺の最下部まで新鮮な空気を送り込むことができます。