蜂の羽音が共鳴する呼吸法 ブラーマリ・プラーナーヤーマ
ヨーガの伝統的呼吸法4回目は「ブラーマリ」。
「ブラーマリ」とはマルハナバチのこと。ミツバチよりも少し大きくて黒っぽいハチです。
この呼吸法は、そのマルハナバチの羽音のような音をたてて息を吐きます。
やり方は、
① 鼻から息を吸う。
② 鼻から息を吐くときに、ハミングのように「ンー」という音を出しながら
吐く。身体の内側に音が響くのを味わう。
鼻から吸って鼻から吐きます。口は閉じたままです。
この呼吸法は、自分の声を身体の隅々まで響き渡らせ共鳴現象を作り上げることがポイントです。一番心地よく響き渡っていると感じる音程を探して、その音を出すことです。
ちょうどヴァイオリンなどの弦楽器の内部で、最後に鳴った音が楽器のすべての部分と共鳴振動をしているのと同じことです。
そしてこの呼吸法の効果は、
・ストレスを和らげる
・喉頭炎や扁桃腺炎など喉の不調を緩和する
・精神を安定させる
・不眠症を改善する
・(瞑想前に行うと)瞑想を深める
と言われています。
瞑想と呼吸法の間のような呼吸法です。
忙しい毎日の中で少しでも呼吸法に取り組む時間、「呼吸を意識する」時間を持つことがストレス解消やリラックスの第一歩ですね。
冷却呼吸法その3 サダンタ・プラーナーヤーマ
ヨーガの伝統的呼吸法4回目は「サダンタ」。
この呼吸法も前回の「シータリー」「シートカーリー」同様、冷却呼吸法です。
やり方は、
① 息を吐ききってから口をやや横広に開け、上下の歯を軽く噛み合わせる
(舌先は上あご、上の歯の付け根あたりにつける)
② 隙間から息を吸う(口から息を吸う)
③ 吸いきったら口閉じる。
④ 鼻から息を吐き出す。
この呼吸法の効果は、
・身体を冷やす
・歯の知覚過敏の緩和
・歯と歯茎を健康に保つ
と言われています。
身体を冷やす呼吸法3つの中でも最もやりやすい呼吸法でしょう。
その気になれば、人いきれの中や蒸し暑い満員電車の中でもできます(*^_^*)
是非お試しを!
冷却呼吸法その2 シートカーリー・プラーナーヤーマ
ヨーガの伝統的呼吸法3回目は「シートカーリー」。
「シートカーリー」とは「シー」という音を出すという意味。
この呼吸法も前回の「シータリー」同様、暑さを和らげてくれるありがたい呼吸法です。
やり方は、
① 息を吐ききってから口を横広に開け、舌先を上あごに向けて巻き上げる。
(舌先の裏側が上あごにつくようにする)
② 前歯同士を閉じ(奥歯でかみ合わせるのではなく、上下の前歯同士を
くっつける感じで)、隙間から息を吸う(歯と歯の隙間から「シュー」
という音をたてながら口から息を吸う)
③ 吸いきったら舌を元に戻し口を閉じる。
④ 鼻から息を吐き出す。
この呼吸法の効果も「シータリー」同様、
・身体を冷やす
・血液を浄化する
・喉の渇きを抑える
・食欲を促進させる
・慢性消化不良を改善
・脾臓の炎症や慢性皮膚疾患を改善
・熱を下げる
・胆汁分泌過多を治し、痰などの粘膜性失調を癒し治療する
と言われています。
暑さが苦手な方々も、呼吸で少し涼しく感じられれば良いですね。
冷却呼吸法 シータリー・プラーナーヤーマ
ヨーガの伝統的呼吸法2回目は「シータリー」。
「シータリー」とは、「熱を冷ます」とか「冷却」という意味です。
これからのシーズンにはありがたい呼吸法。熱帯性気候の地域も多いインドならではの呼吸法といえます。
やり方は、
① 息を吐ききってから口を開けて、舌の両サイドを巻き上げてU字型にする。
舌の先を少し口から出す。(唇はすぼめる)
② U字型の間から息を吸う。(口から息を吸う)
③ 吸いきったら舌を口の中に引き入れて口を閉じる。
④ 鼻から息を吐き出す。
※舌の両サイドが巻き上げられない方は、口をすぼめて、口笛を吹くような形にするだけでOK。
この呼吸法の効果は、
・身体を冷やす
・血液を浄化する
・喉の渇きを抑える
・食欲を促進させる
・慢性消化不良を改善
・脾臓の炎症や慢性皮膚疾患を改善
・熱を下げる
・胆汁分泌過多を治し、痰などの粘膜性失調を癒す
と言われています。
身体の中にこもった熱を下げ、元気に夏を乗り切りたいものですね。
勝利の呼吸!? ウジャーイ・プラーナーヤーマ
今回からはヨーガの伝統的な呼吸法を紹介していきます。
1回目の今回は、「ウジャーイ」。
別名「勝利の呼吸」と呼ばれるこの呼吸法は、胸式呼吸です。
おなかをへこませた状態で胸骨を上げ、肋骨を広げて息を吸い、吐くときには胸骨を下げ肋骨を閉めます。鼻から吸って鼻から吐きます。
そして、呼吸をするときに、少し喉を絞めて喉の奥から音を出します。
「スースー」というような音、ごく弱い「いびき」のような音です。
息を吸う時に上あごや喉に空気が入ってくるのを意識します。
少し慣れてきたら、右手人差し指と中指を折り、親指、薬指、小指は伸ばして
(ナーシカムドラー)、
右手の親指で右鼻をふさぎ、左鼻だけで呼吸したり、
また右手の薬指で左鼻をふさぎ、右鼻だけで呼吸したり、
とバリエーションを増やしていきます。
(写真:「HATHA YOGA Illustrated」より)
この呼吸法は、肺の酸素摂取量を高め、神経をリラックスさせ、脳を活性化し、身体全体のバランスを調整します。血圧を上げる効果があるため、低血圧の人には有効です。
高血圧の人冠状動脈の疾患のある人は、無理をせず仰向けの状態でされるのがよいでしょう。
ヨーガの教則本には、早朝4時から4時半ごろに起きて、トイレ、洗面、ぬるま湯のシャワーなどで身体を清潔にしてから、アーサナ、プラーナーヤーマ、メディテーションを行います、必ず空腹時に行います、と記載されているものをよく目にします。
早朝のアーサナやプラーナーヤーマは確かに心身共にすっきりします。1日の仕事や家事の前に行うと、新鮮な気持ちで何事にも取り組めるようで意欲も湧いてきます。
少しずつでも日常にとり入れていきたいものです。
アーユルヴェーダの「痩せ薬」 蜂蜜パワー!
夏も近づく今日この頃、エアコンの冷房を入れるほどではないけれど少し動くと暑い!ので、ついつい運動するのが億劫になります。
普通は寒くなると運動するのが嫌になると言いますが、暑さに弱い私は逆で、できれば夏はクーラーの中でじっとしていたい種族。
かと言ってじっとしていては身体がなまる、脂肪もついていく…そこで思い出すのが、古代インド発祥の伝統医療「アーユルヴェーダ」で、「痩せ薬」と言われている蜂蜜のこと。
そもそも蜂蜜の主な栄養素としては、
・アミノ酸(ロイシン、アラニン、メチオニン、ヒスチジンなど20種類)
・有機酸(酢酸、塩酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、コ
ハク酸など)
・酵素(グルコースオキシターゼ、スクローフィンベルターゼ、アミラーゼ、
カタラーゼなど)
・ビタミン(ビタミンC、コリン、ビタミンB3・B6・B5(パンテトン酸)・
B2・K・B1・B9(葉酸)、ビオチン、ビタミンA)
・ミネラル(カリウム、ナトリウム、硫黄、塩素、カルシウム、リン、珪酸、
ヨウ素)
・ポリフェノール(フラボノイド、カフェイン酸フェネチルエステル、
一酸化窒素など80種類)
アーユルヴェーダでは、蜂蜜の効能は以下のとおり記述されています。
1.消化器系に吸収されやすく、すぐにエネルギー源となる
2.抗酸化作用があり、皮膚の損傷を復元
3.吸湿性があり治癒効果が促進、治癒組織の乾燥を防止
4.鎮静効果があり夜尿症障害に効果
5.抗菌作用がある
6.白血球を強化(常用すると)
7.視力回復・維持
8.喉の渇きを抑える
9.しゃっくりを抑える
10.尿路疾患・駆虫・気管支喘息・咳・下痢・吐き気・嘔吐②効果
11.新鮮な蜂蜜は体重を増加させ穏やかな下剤となる
12.時を経て保存された蜂蜜は脂肪の代謝効果がある
現代風に言えば、
すぐにエネルギーになるということは疲労回復の効果があり、
脳の唯一の栄養源ブドウ糖が含まれていることから脳の活性化が期待でき、
吸湿性があることからアンチエイジングスキンケアに有効、
抗酸化作用はガンの予防にも希望が持て、
ビタミンB5やコリンは二日酔いの解消に、
グルコン酸は現代でも消毒薬に使われるほどでアレルギー(アトピー)や水虫、
火傷や切り傷、口内炎、湿疹の薬として、うがい薬として応用ができ、
オリゴ糖にはビフィズス菌を増やす効果があることから腸内環境を整え、
コリンが血管を拡張させ血圧を下げ、
血管壁に付着する悪玉コレステロールを除去、
カリウムが塩分の取り過ぎによるナトリウムのバランスを調整、
鉄分も含まれているので貧血予防・改善にも
そして、脂肪燃焼効果がある成分は、アミノ酸のアラニン、ビタミンB2・B5、
リンゴ酸、その他比率は低いもののアミノ酸のスレオチン、ポリフェノールの
ケンフェロールという成分らしい。
アーユルヴェーダでは特に、熟成された蜂蜜が脂肪燃焼効果が大きいと言われています。
しかも非加熱で処理され、オーガニックなものに限るそうです。
上記のような多彩な有効成分も加熱処理をしてしまうと大半が壊れてしまうからです。
なので、蜂蜜を温めたり、暖かいものと一緒に採るのも厳禁とされています。
ベストな採り方としては、朝一番の空腹時に、ティースプーン1,2杯をそのまま舐める、もしくは35℃以下のぬるま湯にレモン汁と一緒に溶かして飲む、だそうです。
1日の摂取量としてはティースプーン3杯まで。
ただ、蜂蜜を温めたからといって、健康被害が報告された例はないそうで、紅茶に入れるくらいなら大丈夫、という研究者もいるようです。
インド5000年の歴史を誇るアーユルヴェーダに敬意を表するなら温めない方がよい、と言えます。
もともとは働き蜂たちの大変な苦労からできている蜂蜜。貪ってはいけません。恩恵に心から感謝しつつ、古代からの智慧で心身共に美しく健康に!というところです。
Namaste!
気づきの瞑想会@新大阪 ~タイ仏教寺院の日本人副住職プラユキ師の瞑想会~
かねてから行ってみたかったプラユキ師の瞑想会に初めて参加。
この日は、呼吸瞑想・食事瞑想・手動瞑想・歩行瞑想そしてプラユキ師との交流会と盛りだくさん!
午前中は、呼吸と呼吸した時の身体の動きを観察する呼吸瞑想、アーナーパーナサティ。いわば準備運動だ。
お昼前にお弁当を食べながらの食事瞑想。食事をするときの動作、料理の味や匂いや見た目、快・不快などの自分の感情にまでつぶさに観察していく。
午後は、瞑想をしながら右手、左手と順に決まった動きをしていく手動瞑想。手の動きを意識で追っていくことで、意識化、気付きを促す。自分の手という非常にリアルなものをしっかりと感じていくことで、過ぎ去ったことを思い悩んだり、まだ起きてもいないことを思い煩う気持ちを手放していく。集中すべきは「今、ここ」だけで良いのだ。
その後は歩きながら主に脚を意識する歩行瞑想。手動瞑想は観察のためのツールが手だったが、今度は脚だ。こちらもやはり脚の動きをじっくりと味わい、「今、ここ」に浸る。
最後は質疑応答とプラユキ師との交流会。目からうろこの連続。
何のために瞑想をするのか、と聞かれると答えに窮していた私だが、プラユキ師曰く、本番で取り乱さないための訓練だということだ。
本番とは、激烈な感情に襲われた時のこと。怒りや悲しみ、憎しみ、嫉妬などなどを感じた時のことだが、常に自分自身を見つめて、自分の感情を意識するという練習をしていないとそれらの感情の奴隷となってしまう。
例えば、連絡もなくデートに遅れてきた恋人に怒りを感じて、感情をストレートにぶつけ過ぎてしまったとしたら、「なんで連絡もせずにこんなに遅れてくるのっ!!」とか言って。
自分が怒りを感じているということにはたいていすぐに気付くだろうが、怒りの前段階にはなかなか気付かない。
怒りが生まれる少し前には、実は自分の勝手な願い(もしくは思い込み)があるのだ。
遅れるなら連絡してほしい、遅れるなら連絡するのが当然だ、もしくはもっと早く来てほしかった、会いたかった…という気持ちだ。
その願いが叶えられなかったから、自分は悲しかった、もしくは切なかったのだ。この気持ちをまず自分で受け止めてやらなければならない。それができたら、少しは冷静になり、怒号を浴びせることはないだろう。怒りは新たな怒りを呼び込む可能性も大きいが、それを避けることもできるだろう。そして切なかった方の気持ちを相手に伝えることができれば、人間関係もよりスムーズに温かみのあるものになっていくだろう。
気付くか気付かないかによって人生は全く違ったものになってくる。
改めて仏教の智慧の深さに感動した1日だった。