アーユルヴェーダ入門!
近頃少しずつメディアなどでも取り上げられるようになってきたインドの伝承医学「アーユルヴェーダ」。WHOも効果があると認めているちゃんとした医学です。
日本では見かけることは少ないですが、インドでは国家資格を持った医師が常駐する病院があり、多くの人々が利用しています。
何か身体に不調があると病院に行って薬を飲んで治す、というのが日本では一般的ですが、病気になってからというより、健康な時に病気にならないようにするにはどうしたら良いかを聞きに行くのがインド流。つまりアーユルヴェーダは予防医学ということです。
病気にならないための一日の過ごし方、一週間の過ごし方、季節ごとの過ごし方、年齢ごとの過ごし方が提唱されています。
アーユルヴェーダの1日とは日の出から日の入りまで。季節によって時刻が異なるため、季節ごとに過ごし方が変わるのです。
例えば朝の過ごし方は、
① 日の出前に起きる
(ちなみに7/5の東京の日の出は4:31 、大阪4:50、北海道4:01、沖縄5:42)
② トイレに行く
③ 歯を磨き、舌苔をとる
④ 白湯を飲む
⑤ 入浴またはシャワー、オイルマッサージ(白ゴマ油)、ヨガ、瞑想をする
⑥ おなかが空いていれば食事をする
⑦ 身支度を整える
⑧ 仕事、家事などを始める
⑤はできれば行った方が良いもの。それ以外は必ず行うもの。
日の出前に起きるのがポイント!とはいえ、北海道に住んでいれば午前4時前に起きなくてはいけない…かなり大変なので、遅くとも6時までには起きるのがポイントだそうです。
そして、寝ている間に身体にたまった毒素や老廃物が体外へ出ようとして、外界への出口となる部分の付近に集まってくると言います。耳の穴や鼻の穴、肛門や口などです。中でも最大の出口は口。そのため、起きたらすぐ歯を磨きます。口内細菌の面からも最初の食事の前に歯を磨くと良いと考えられていますが、アーユルヴェーダでも然り。間違っても起きてすぐ水などを飲んではいけないようです。
またアーユルヴェーダでは、消化力を正常に保つことが健康維持にはとても大切だと説かれています。病気のリスクも消化力によって変わってくるとも。
消化力を守るためには、
●お腹が空いてから食べる
(1日に3回の食事は必須ではなく、消化力が弱っている時に3回必ず食べなければいけない、ということはないということ)
●適度な運動をする
●食間に白湯を飲む
●季節や年齢に応じた生活習慣を維持する
白湯であればお金もそれほどかからないし、身近にあるものなので非常に手軽に試すことができますよね。 量や温度にはそれほどこだわらなくても良いそうですが、目安は大体1日に700ml~800mlくらいで、温度は40℃以上のものだそうです。身体が冷えていると感じる時や冷房のきいた部屋に長時間いる時には70℃くらいの白湯が良いそうです。またお茶代わりにすすりながらの食事も良いようです。
アーユルヴェーダはインド3000年の経験が生んだ智慧です。現代人のライフスタイルとは少し違っていますが、簡単で手軽にできることもたくさんありますので是非試してみたいですね。
蜂の羽音が共鳴する呼吸法 ブラーマリ・プラーナーヤーマ
ヨーガの伝統的呼吸法4回目は「ブラーマリ」。
「ブラーマリ」とはマルハナバチのこと。ミツバチよりも少し大きくて黒っぽいハチです。
この呼吸法は、そのマルハナバチの羽音のような音をたてて息を吐きます。
やり方は、
① 鼻から息を吸う。
② 鼻から息を吐くときに、ハミングのように「ンー」という音を出しながら
吐く。身体の内側に音が響くのを味わう。
鼻から吸って鼻から吐きます。口は閉じたままです。
この呼吸法は、自分の声を身体の隅々まで響き渡らせ共鳴現象を作り上げることがポイントです。一番心地よく響き渡っていると感じる音程を探して、その音を出すことです。
ちょうどヴァイオリンなどの弦楽器の内部で、最後に鳴った音が楽器のすべての部分と共鳴振動をしているのと同じことです。
そしてこの呼吸法の効果は、
・ストレスを和らげる
・喉頭炎や扁桃腺炎など喉の不調を緩和する
・精神を安定させる
・不眠症を改善する
・(瞑想前に行うと)瞑想を深める
と言われています。
瞑想と呼吸法の間のような呼吸法です。
忙しい毎日の中で少しでも呼吸法に取り組む時間、「呼吸を意識する」時間を持つことがストレス解消やリラックスの第一歩ですね。
冷却呼吸法その3 サダンタ・プラーナーヤーマ
ヨーガの伝統的呼吸法4回目は「サダンタ」。
この呼吸法も前回の「シータリー」「シートカーリー」同様、冷却呼吸法です。
やり方は、
① 息を吐ききってから口をやや横広に開け、上下の歯を軽く噛み合わせる
(舌先は上あご、上の歯の付け根あたりにつける)
② 隙間から息を吸う(口から息を吸う)
③ 吸いきったら口閉じる。
④ 鼻から息を吐き出す。
この呼吸法の効果は、
・身体を冷やす
・歯の知覚過敏の緩和
・歯と歯茎を健康に保つ
と言われています。
身体を冷やす呼吸法3つの中でも最もやりやすい呼吸法でしょう。
その気になれば、人いきれの中や蒸し暑い満員電車の中でもできます(*^_^*)
是非お試しを!
冷却呼吸法その2 シートカーリー・プラーナーヤーマ
ヨーガの伝統的呼吸法3回目は「シートカーリー」。
「シートカーリー」とは「シー」という音を出すという意味。
この呼吸法も前回の「シータリー」同様、暑さを和らげてくれるありがたい呼吸法です。
やり方は、
① 息を吐ききってから口を横広に開け、舌先を上あごに向けて巻き上げる。
(舌先の裏側が上あごにつくようにする)
② 前歯同士を閉じ(奥歯でかみ合わせるのではなく、上下の前歯同士を
くっつける感じで)、隙間から息を吸う(歯と歯の隙間から「シュー」
という音をたてながら口から息を吸う)
③ 吸いきったら舌を元に戻し口を閉じる。
④ 鼻から息を吐き出す。
この呼吸法の効果も「シータリー」同様、
・身体を冷やす
・血液を浄化する
・喉の渇きを抑える
・食欲を促進させる
・慢性消化不良を改善
・脾臓の炎症や慢性皮膚疾患を改善
・熱を下げる
・胆汁分泌過多を治し、痰などの粘膜性失調を癒し治療する
と言われています。
暑さが苦手な方々も、呼吸で少し涼しく感じられれば良いですね。
冷却呼吸法 シータリー・プラーナーヤーマ
ヨーガの伝統的呼吸法2回目は「シータリー」。
「シータリー」とは、「熱を冷ます」とか「冷却」という意味です。
これからのシーズンにはありがたい呼吸法。熱帯性気候の地域も多いインドならではの呼吸法といえます。
やり方は、
① 息を吐ききってから口を開けて、舌の両サイドを巻き上げてU字型にする。
舌の先を少し口から出す。(唇はすぼめる)
② U字型の間から息を吸う。(口から息を吸う)
③ 吸いきったら舌を口の中に引き入れて口を閉じる。
④ 鼻から息を吐き出す。
※舌の両サイドが巻き上げられない方は、口をすぼめて、口笛を吹くような形にするだけでOK。
この呼吸法の効果は、
・身体を冷やす
・血液を浄化する
・喉の渇きを抑える
・食欲を促進させる
・慢性消化不良を改善
・脾臓の炎症や慢性皮膚疾患を改善
・熱を下げる
・胆汁分泌過多を治し、痰などの粘膜性失調を癒す
と言われています。
身体の中にこもった熱を下げ、元気に夏を乗り切りたいものですね。
勝利の呼吸!? ウジャーイ・プラーナーヤーマ
今回からはヨーガの伝統的な呼吸法を紹介していきます。
1回目の今回は、「ウジャーイ」。
別名「勝利の呼吸」と呼ばれるこの呼吸法は、胸式呼吸です。
おなかをへこませた状態で胸骨を上げ、肋骨を広げて息を吸い、吐くときには胸骨を下げ肋骨を閉めます。鼻から吸って鼻から吐きます。
そして、呼吸をするときに、少し喉を絞めて喉の奥から音を出します。
「スースー」というような音、ごく弱い「いびき」のような音です。
息を吸う時に上あごや喉に空気が入ってくるのを意識します。
少し慣れてきたら、右手人差し指と中指を折り、親指、薬指、小指は伸ばして
(ナーシカムドラー)、
右手の親指で右鼻をふさぎ、左鼻だけで呼吸したり、
また右手の薬指で左鼻をふさぎ、右鼻だけで呼吸したり、
とバリエーションを増やしていきます。
(写真:「HATHA YOGA Illustrated」より)
この呼吸法は、肺の酸素摂取量を高め、神経をリラックスさせ、脳を活性化し、身体全体のバランスを調整します。血圧を上げる効果があるため、低血圧の人には有効です。
高血圧の人冠状動脈の疾患のある人は、無理をせず仰向けの状態でされるのがよいでしょう。
ヨーガの教則本には、早朝4時から4時半ごろに起きて、トイレ、洗面、ぬるま湯のシャワーなどで身体を清潔にしてから、アーサナ、プラーナーヤーマ、メディテーションを行います、必ず空腹時に行います、と記載されているものをよく目にします。
早朝のアーサナやプラーナーヤーマは確かに心身共にすっきりします。1日の仕事や家事の前に行うと、新鮮な気持ちで何事にも取り組めるようで意欲も湧いてきます。
少しずつでも日常にとり入れていきたいものです。
アーユルヴェーダの「痩せ薬」 蜂蜜パワー!
夏も近づく今日この頃、エアコンの冷房を入れるほどではないけれど少し動くと暑い!ので、ついつい運動するのが億劫になります。
普通は寒くなると運動するのが嫌になると言いますが、暑さに弱い私は逆で、できれば夏はクーラーの中でじっとしていたい種族。
かと言ってじっとしていては身体がなまる、脂肪もついていく…そこで思い出すのが、古代インド発祥の伝統医療「アーユルヴェーダ」で、「痩せ薬」と言われている蜂蜜のこと。
そもそも蜂蜜の主な栄養素としては、
・アミノ酸(ロイシン、アラニン、メチオニン、ヒスチジンなど20種類)
・有機酸(酢酸、塩酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、コ
ハク酸など)
・酵素(グルコースオキシターゼ、スクローフィンベルターゼ、アミラーゼ、
カタラーゼなど)
・ビタミン(ビタミンC、コリン、ビタミンB3・B6・B5(パンテトン酸)・
B2・K・B1・B9(葉酸)、ビオチン、ビタミンA)
・ミネラル(カリウム、ナトリウム、硫黄、塩素、カルシウム、リン、珪酸、
ヨウ素)
・ポリフェノール(フラボノイド、カフェイン酸フェネチルエステル、
一酸化窒素など80種類)
アーユルヴェーダでは、蜂蜜の効能は以下のとおり記述されています。
1.消化器系に吸収されやすく、すぐにエネルギー源となる
2.抗酸化作用があり、皮膚の損傷を復元
3.吸湿性があり治癒効果が促進、治癒組織の乾燥を防止
4.鎮静効果があり夜尿症障害に効果
5.抗菌作用がある
6.白血球を強化(常用すると)
7.視力回復・維持
8.喉の渇きを抑える
9.しゃっくりを抑える
10.尿路疾患・駆虫・気管支喘息・咳・下痢・吐き気・嘔吐②効果
11.新鮮な蜂蜜は体重を増加させ穏やかな下剤となる
12.時を経て保存された蜂蜜は脂肪の代謝効果がある
現代風に言えば、
すぐにエネルギーになるということは疲労回復の効果があり、
脳の唯一の栄養源ブドウ糖が含まれていることから脳の活性化が期待でき、
吸湿性があることからアンチエイジングスキンケアに有効、
抗酸化作用はガンの予防にも希望が持て、
ビタミンB5やコリンは二日酔いの解消に、
グルコン酸は現代でも消毒薬に使われるほどでアレルギー(アトピー)や水虫、
火傷や切り傷、口内炎、湿疹の薬として、うがい薬として応用ができ、
オリゴ糖にはビフィズス菌を増やす効果があることから腸内環境を整え、
コリンが血管を拡張させ血圧を下げ、
血管壁に付着する悪玉コレステロールを除去、
カリウムが塩分の取り過ぎによるナトリウムのバランスを調整、
鉄分も含まれているので貧血予防・改善にも
そして、脂肪燃焼効果がある成分は、アミノ酸のアラニン、ビタミンB2・B5、
リンゴ酸、その他比率は低いもののアミノ酸のスレオチン、ポリフェノールの
ケンフェロールという成分らしい。
アーユルヴェーダでは特に、熟成された蜂蜜が脂肪燃焼効果が大きいと言われています。
しかも非加熱で処理され、オーガニックなものに限るそうです。
上記のような多彩な有効成分も加熱処理をしてしまうと大半が壊れてしまうからです。
なので、蜂蜜を温めたり、暖かいものと一緒に採るのも厳禁とされています。
ベストな採り方としては、朝一番の空腹時に、ティースプーン1,2杯をそのまま舐める、もしくは35℃以下のぬるま湯にレモン汁と一緒に溶かして飲む、だそうです。
1日の摂取量としてはティースプーン3杯まで。
ただ、蜂蜜を温めたからといって、健康被害が報告された例はないそうで、紅茶に入れるくらいなら大丈夫、という研究者もいるようです。
インド5000年の歴史を誇るアーユルヴェーダに敬意を表するなら温めない方がよい、と言えます。
もともとは働き蜂たちの大変な苦労からできている蜂蜜。貪ってはいけません。恩恵に心から感謝しつつ、古代からの智慧で心身共に美しく健康に!というところです。
Namaste!